本ページはプロモーションが含まれています

反りのメカニズムと反りへの対処方法及び加工方法。

木の板というのは、自然のままに放置していると、反りが生じたり、ねじれたり、割れたり等の変形が生じることはご承知と思います。

ではなぜ木の板は変形するのでしょうか。

周知のとおり、木の板というのは、もともとは山に生えていた木を伐採して、製材をして、板として使用しているものです。

木は植物ですから山に生えているときは、常に体内に大量の水分を含んでいます。

伐採をしますと、木は地中から水分を吸収することが出来なくなりますので、製材した板は、当然ながらそのままにしておきますと木の中から水分は徐々に抜けていきます。

この水分が抜けていくことによって、木は大きく変形を起こします。

そしてある一定の含水率(気乾含水率)に達すると安定しますが、日本の場合は四季があり、それぞれの季節によって、大気中の湿度条件は変化します。

梅雨の湿度の高い時期では、木は湿気を吸い、秋、冬の乾燥期には湿気を吐き出します。

したがって木は1年中、湿度の変化によって湿気を吐いたり、吸ったりを繰り返します。

そのたびに木は膨張、収縮を繰り返すことになります。

反りのメカニズム

では、なぜ膨張、収縮を起こすと、変形が生じるのでしょうか。

それは、一言で言えば、木の特質の一つである「異方性」にあります。

異方性とは、方向によって性質が異なっているということです。

異方性とは反対に、方向によって性質が同じ場合は、「等方性」といいます。

金属、プラスチック、ガラス等は方向によっての性質は同じと考えられますので等方性の物質といえます。

木材の性質についてはいろいろありますが、反りに一番影響を与えているのが、収縮率です。

つまり、方向によって収縮率が違ってくるのです。

では、どのような方向によって変わってくるのでしょうか。

この事を考える場合、木材には年輪が有りますので、この年輪に対しての3方向で考えます。

1.垂直方向(繊維方向)
2.接線方向
3.放射方向

以上の3方向となります。

丸太の年輪で言いますと、つぎの図のようになります。

一般的な板の場合で言いますと、次の3方向となります。

1.垂直方向は、繊維方向つまり木材が地上に生えている場合で言えば上下方向となります。

2.接線方向は、年輪の輪に接するような方向です。

3.放射方向は、年輪の中心付近を通って、年輪に直行する方向です。

上記の3方向の収縮率の比は、垂直方向:接線方向:放射方向=1:10:5 となっています。

板材で言えば、垂直方向は長さ方向となり、接線方向は上面の巾方向、放射方向は下面となります。

したがって、板が乾燥して水分を放出した場合、長さ方向には若干ちぢみ、巾方向には上面が下面より多くちぢむことになります。

よって、板の巾方向は凹型に反ることになります。

逆に、水分を吸収すれば、巾方向が凸型に反ってしまいます。

上記の板材の場合は、下面がちょうど中心を通るように書いていますが、一般的には木の芯は避けて(いわゆる芯去り材)板取りをします。

放射方向から接線方向への収縮率は段階的に変化すると考えられていますので、

木の芯を含んでいない板材の場合も、木裏側がより放射方向に近いと考えられますので、

木の芯を含んでいない板材の場合も同様の反りが生じます。

上記の異方性が、反りが生じる一番の原因ですが、もう一つ考えられることが有ります。

それは、円形に形成される年輪にあります。

木の木口(両端)を見て下さい。

年輪が有りますが、ご存じの様に木は生物ですから小さな細胞から形が形成されています。

仮に一つの細胞の大きさを同じと考えた場合、上面(木表側)と下面(木裏側)の細胞の数は、年輪の円周の外側の方が内側より多いことになります。

また、一つ一つの細胞が同じ量だけ縮んだとすれば、全体としては細胞の数が多い木表側が多く縮むことになります。

したがって乾燥して水分を放出すれば木表側が凹型に反りが生じることになります。

木材の異方性については、各大学の専門分野において研究されています。

インターネットの検索で、「木材」「異方性」のワードで検索してもいろいろ出てきます。

ご興味の方は、調べてみてください。

反りへの対処方法

天板、集成材の反り

横はぎ天板はそのままですと反りが生じます。

従いまして、横はぎ天板をご使用の場合は、反り防止をしっかり 行ってご使用頂きます様お願い致します。

天板が反る場合は、一般的に巾方向に対して反ります。

つまり、下記の図のように反るのが一般的です。

あるいは逆に、中央部分が盛り上がる場合もあります。

集成材は反らないとお考えの方がおられますが、集成材も反ります。

無垢材や横はぎ天板に比べれば、反りの頻度や程度は小さいですが全く反らないというわけではありません。

従いまして、集成材をご使用の場合は、反り防止をしっかり行ってご使用頂きます様お願い致します。

集成材も天板と同様に、巾方向に反りが生じやすくなります。

保管上の留意点

(1)風雨に晒される場所、直射日光があたる場所は避ける。

(2)地面に直接置かない。

(3)開梱したら長時間放置しないで、出来るだけ速やかに施工する。

正しい施工方法

(1)雨天時の施工はできるだけ避ける。

(2)常時水のかかるところや湿気の多い場所では使用しない。

(3)塗装する場合、表裏とも塗装しバランスをとる。

(4)木口はペーパーで仕上げてから3回以上塗装する。

(5)モルタルなど乾いてない部分への施工は避ける。

(6)反り防止のための吸付き桟等をとりつける。

反った時の対処方法

(1)反ってしまった場合は、反った時の上下(表裏)を逆にして、しばらく置いてみて下さい。

この方法でおおむね元の状態に戻ります。

(2)上記の方法でも戻らない場合は、強制的にクランプ等ではさみ固定するしか方法は有りません。

そり防止の加工方法

天板等の巾の広い板の場合、反りは下記の図のように主に巾方向に生じます。

反り防止のための加工方法としては、下記の3通りの方法が考えられます。

(1)桟を取り付ける。
(2)幕板に取り付ける
(3)箱状の台に取り付ける

(1)桟を取り付ける

反りは主に上記の図のように巾方向に生じますので、それを防止するには巾方向に平行に天板の下側に数本の角材を取り付けます。

角材の取り付け方法としては、主に次の3つの方法が有ります。

(ア)ホゾ、ミゾ(蟻ミゾ)をつけて、取り付ける。
(イ)駒止め金物で取り付ける。
(ウ)木ネジで取り付ける。

(ア)ホゾ、ミゾ(蟻ミゾ)をつけて、取り付ける。

天板の下側には、底が広がった形をしたミゾ掘ります。
反り止めには、同じ形をした先が広がったホゾを付け、天板の側面より差込みます。

下記の図が、反り止めを取り付けた状態です。

ホゾ、ミゾ(蟻ミゾ)をつけて、取り付ける方法の場合、蟻ミゾの深さは天板の厚みの

1/3~1/4程度とし、蟻形の角度(蟻勾配)は、70°~75°を標準としてください。

上記の図を見ていただいてお分かりのように、ミゾの底が広がった形となっていますので、

外れることはありませんので、接着剤を使用して接着させてはいけません

接着させると、天板の巾方向の膨張、収縮が妨げられ、木口割れの原因となります。

(イ)駒止め金物(アングル天板止)で取り付ける方法

駒止め金物(アングル天板止)

上の写真が駒止め金物(アングル天板止)です。

駒止め金物は1辺が2cm程の小さなL形の金物で、横穴(左側)と縦穴(右側)の2種類あります。

この駒止め金物を使って反り止めの角材を取り付ける場合は、下の図のように、2つの穴を反り止めの角材に1つの長穴を天板側に取り付けるようにします。

長穴にしてある理由は、天板の巾方向の膨張、収縮に対応するためですので、この場合は上の写真の左側の横穴を使用してください。

実際に取り付けた写真です。(天板の下が上を向いています)

ご購入につきましては、下記画像をクリックしていただきますと販売されているページにいけます。

 ヨコアナ

 タテアナ

(ウ)木ネジで取り付ける方法

この方法は、反り止め材の下から天板に向けて木ネジで留める方法です。

この場合も、天板の巾方向に対しての動きを妨げないようにする必要があります。

通常は、木ネジの頭が見えないようにするため、2段の座ぐり付きの穴を開けますが、

天板に接する小さい穴は木ネジの径よりも大きい丸穴か、

または巾方向に長い小判型の穴を開けます。

上図のように巾方向に長穴を開けておけば、巾方向の膨張収縮に対応することが出来ます。

木ネジは反り止め材の下側から天板に向けて打ちますので、

木ネジの長さはそり止め材の厚み+天板の厚みの半分くらいの長さが必要になります。

木ネジを打つ場合は、すべりを良くするためにワッシャーをかませて打つと良いでしょう。

また、木ネジの先端が天板の上から飛び出ないように木ネジの長さに気をつけてください。


(2)幕板に取り付ける

通常の4本足の場合、足と足の間に板を渡して足を固定します。

この足と足の間に渡された板のことを幕板と言いますが、この幕板と天板を固定することによって反りを防止しようというものです。

幕板と天板の取り付け方法には次の3通りの方法が有ります。

(ア)駒止めを使用する。
(イ)駒止め金物を使用する。
(ウ)木ネジを使用する。

(ア)駒止めを使用する。

「駒止め」というのは木製の小さな駒で、天板の裏側に取り付けますが、取り付ける際に幕板に開けれた溝に片方が差し込まれています。

天板の膨張、収縮に対応出来るようになった合理的な工法です。

使用方法につきましては、詳しく説明がされている下記のホームページをご参考にしてください。

ヤクモ家具製作所株式会社
http://yakumo.jp/komadome.html

ただ、一般の方には細工がちょっと難しいので、次に説明する駒止め金物を使用するのが簡単です。

(イ)駒止め金物を使用する。

桟を取り付けるときに使用したものと同じ駒止め金物を使用して幕板と天板を固定します。

(ウ)木ネジを使用する。

幕板と天板を木ネジを使って幕板の下側から固定します。

この場合も、反り止めの角材を木ネジを使って固定する場合と同様に、木ネジの穴は巾方向に長穴にします。

幕板の高さが高くて下側から木ネジを打つのが難しい場合は、幕板の内側の側面から斜めに天板に向かって木ネジを打つ方法もあります。


(3)箱状の台に取り付ける

四方を板で囲まれた箱は、皆さんもご存知のように大きな強度があります。

この箱状の台に天板を取り付けることによって反りを防止することが出来ます。

2件のコメント

木材・プラスチック複合材の反り対策の方法についてお尋ねします。
舗装板に木材・プラスチック複合材を使用しています。時間経過ごとに反りが激しくなっています。対策方法についてお教えください。

お問い合わせをいただきまして有難うございます。
私は木材が専門で、プラスチックとの複合材についての専門的な知識は持っていません。
ですので正確なご回答はできませんが、
仮に木材と同じような性格の物質とすれば、ページ内でご紹介しているような方法となります。

また舗装板というものがどのように使用されているものかについても知識がありません。
使用方法によっても対策は異なってきます。
ご使用されている状況が分かる資料等があれば、また考えられるかなと思います。
よろしくお願いいたします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください